医師の要望と
医界の期待に応える。
今、医療の現場で注目が集まっているモノがある。脳血管内治療で使用するYコネクタと呼ばれる器具を手術台に固定するための道具だ。この小さな道具が日本のカテーテル手術を変えるかもしれない。「お医者さんの要望に応えてつくったものです。自分でも納得いくまで試作と評価を何度か繰り返して完成させました」と話す間瀬剛志さん。教授との連名で投稿した論文が、米国の医学学会誌「W o r l dNeur osur ger y」に掲載された。大学4年生のつくった道具が世界で認められ、“ワールド”と名のつく規模に彼自身も驚き、戸惑ったそうだ。Yコネクタは、カテーテルのなかに薬剤と極細の治療デバイスを入れるためのY字型の医療器具である。これまでYコネクタは手術台に固定されておらず、医師はYコネクタを左手で持ちながら、右手で治療デバイスを操作していた。間瀬さんの開発した道具は、このYコネクタを手術台にワンタッチで固定できる道具である。医師の左手を自由にする画期的な手法が評価された。AUTの研究は、社会につながり、工学の基本であるモノづくりを通して世界に貢献できる可能性を秘めているのだ。