自動車工業学科 加藤寛

ヘリコプター搭乗記

自動車工業学科 助教 加藤 寛/KATO Hiroshi

2020年10月ぐらいにアップされていると思います。

前回この「AUT FUN」に投稿した「献血活動」が2019年12月公開で、まさにそのころから「COVID-19」coronavirus disease 2019(2019年に発生した新型コロナウイルス感染症)で、SARS-CoV-2と呼ばれるウイルスが原因で起きる感染症が、あっという間に世界中に感染が拡大しました。
日本においても、4月7日、安倍首相が東京都や大阪府、福岡県など7都府県を対象に「緊急事態宣言」を発出しました。
本学においては、4月2日の入学式を挙行し、数日間のオリエンテーションを行い、4月8日から授業を行う段階で「緊急事態宣言」を受け、対面授業を全て取りやめることとなりました。臨時休校中は課題による対応を行い、6月1日からは通常授業を開始しましたが、短期大学は実習時間が多く、6月、7月は土曜日も授業を行い、学生、教職員一丸となって、感染対策を行いながら、今現在、後期の授業も進めています。

そんな中ですが、今回ヘリコプターに乗る機会があったので、報告をさせていただきます。

本学のある蒲郡市から高速を使って1時間ちょっとで小牧市にある名古屋飛行場(県営名古屋空港)に行くことができます。
名古屋飛行場は2005年、中部国際空港(セントレア)が開業するまでは海外便もあり、筆者も何度か海外へ旅行するのに利用していましたが、現在は国内便のみの空港となり、施設もコンパクトになっています。しかしながら、名古屋市からの距離は近く、敷地内には「あいち航空ミュージアム」といった、航空機の展示やさまざまな体験ができる施設や、航空自衛隊・小牧基地もあり、普段見ることができない機体も見られ、また、商業施設も併設されていて、一日楽しむことができます。

その空港の中に、今回お邪魔したヘリコプターでの遊覧飛行を行っている「SECO INTERNATIONAL」様があります。

手続きはいたって簡単で、電話にて事前予約をし、当日時間までにお邪魔します。当日の天候次第で中止もあるようですが、今回は大丈夫でした。中止の場合は電話をいただけます。
到着したら応接室に案内されて、簡単な説明や、飛行機に乗るとよく見る緊急事態時の救命胴衣の使い方のビデオを見て、ものの数分で、格納庫へ移動となります。
搭乗前には金属探知機を通るところも、飛行機に乗るのと同じでした。ただ、搭乗時に風で飛ばされる危険性があるため、帽子等はロッカーにしまいます。
格納庫前にはワゴン車が用意されていて、いよいよヘリコプターのある駐機場へ移動ですが、格納庫からすでにヘリコプターが見えていました。

ワゴン車からの一枚です。すでにプロペラは回転しており、搭乗への期待と不安で気持ちが高ぶってきました。
搭乗前には感染対策で、機内の消毒や搭乗時に装着するヘッドセットの用意などをしていただきました。機体はアメリカ製・ロビンソン社のR44型の4人乗りで、体がすっぽり入る感じのかなりタイトなつくりでしたが、窓が大きく展望は素晴らしかったです。

ここで、なぜヘリコプターは飛べるのか?ですが、

ヘリコプターには常に4つの力が働いています。

揚力(Lift)上向きの力

ヘリコプターを上方に引っ張り、浮き上がらせようとする力

重力(Weight)下向きの力

ヘリコプターを下に引っ張る力

推力(Thrust)前方向の力

ヘリコプターを前に進めようとする力

抵抗(Drag)後方向の力

ヘリコプターを後ろに引っ張ろうとする力

この4つの力の大きさを変える事により、ヘリコプターは上昇、前進、降下、後進、さらにはホバリング(空中停止)をすることが出来ます。

テールローター

ヘリコプターには写真の丸のところの「テールローター」があります。
ヘリコプターの上のブレードが左方向に回転し始めると、作用反作用の法則により、ヘリコプター自身がブレードの方向と逆方向に回転し始めてしまいます 。テールローターは、ヘリコプター自身の回転を止め、真っすぐ飛ぶ姿勢を得るために、その回転方向と反対方向の力を発生させるために取り付けられています。また、このテールローターにより得られる力を利用して、左右方向に360°ターンすることも可能です。

飛行中は、基本的にローターの回転面を傾けることにより好きな方向に進むことが出来ます。前進飛行のときには、上向きに使っていた揚力の一部を、ローターの回転面を前方に傾けることで、推力として使用し前進できます。また、このとき揚力を変化させる(増やしたり、減らしたり)ことで、前進しながら上昇したり、降下することができます。同じ理論で、ローターの回転面を傾けることで、ヘリコプターを左右に進めたり、後進させたりすることができます。
また、ヘリコプターの特徴の一つに、ホバリング(空中で停止している状態)がありますが、基本的に推力・抵抗は存在せず、揚力と重量(重力)のつりあいのみで空中停止している状態です。

離陸時の動画

パイロットさんが管制塔とのやり取りをする会話が、ヘッドセットから聞こえ、気分が高鳴る中、いよいよ離陸ですが、浮き上がるときは、気が付いたら飛んでいたぐらい、あっさりと数メートル浮き上がりました。
そのまま上昇するかと思っていましたが、飛行機同様、滑走路からの離陸でした。動画でわかると思いますが、機体をかなり傾けながら、滑走路へ進んでいきます。
滑走路に入って数秒後には一気に上昇して行きました。

離陸後の写真

右側に滑走路、真ん中の建物が商業施設の「エアポートウォーク名古屋」です。滑走路に張り出して駐車場があり、間近で飛行機が離発着しています。

左の写真中央が名古屋城です。右の写真が名古屋駅です。ちょうど間を抜けながら旋回して帰ります。天気があまり良くなかったので、遠方はかすんでいて残念でした。

名古屋市北区上空です。名古屋高速1号楠線の特徴的なループの黒川インターが見えます。

今回のフライトについて

今回はお試しコースの体験フライトで、約7分間の飛行でしたが、飛行機とはまた違った体験でした。非常に安定していて、以前に小型のセスナにも乗ったことがありますが、そちらの方がめちゃめちゃ怖かったです。

いかがでしたか?
コロナの中、感染対策を心掛けながらの生活はしばらく続くと思いますが、対策を十分とりながら、いろいろな体験を学生たちにもしてもらいたいと思います。

お知らせ

来年度の話になりますが、今現在、2年生・後期の選択実習(OMS・ワン・モア・セミナー)に、ドローン整備の実習を導入すべく、準備中です。あくまでも整備の観点から構築しますが、これからの物流の一方式とも考えられ、今後成長する分野でもあり、取り扱いや、法令関係など知らなければならない知識が多くあります。自動車整備と合わせ、ドローン整備も学んでもらいたいと思います。