自動車工業学科 加藤寛

バイオ・ディーゼル/環境への取り組み

自動車工業学科 助教 加藤 寛/KATO Hiroshi

バイオ・ディーゼル/環境への取り組み

2008年8月ぐらいにアップされていると思いますが、パート1、2と趣味の話で、遊んでばかりいるのかと思われるので、ここで少し研究の話をさせていただきます。自動車短期大学では、授業も当然ながら、研究も行っています。しかし、研究といっても難しい研究ではなく、バイオ・ディーゼルについての研究です。

自分がなぜバイオ・ディーゼルについて研究を始めたかといいますと、地球温暖化の影響による海水面上昇で、ツバルなどの海抜の低い多くの国々で被害が出ていることを知ったからです。

浸水前

浸水後

地球温暖化のメカニズムについて

現在、地球の平均気温は約15度位ですが、もし、大気中に温室効果ガス(水蒸気、二酸化炭素、メタンなど)がなければ、マイナス19度位になってしまいます。
太陽から地球に降り注ぐ光は、地球の大気を通り越して地表面を暖めるのですが、その地表面から放射される熱を温室効果ガスが吸収し、大気を暖めるので、約15度位に保てるのです。
しかし、産業革命以降、温室効果ガスは大量に排出され、大気中の濃度は高まり、よって熱の吸収が増え続けた結果、気温が上昇し始めているのです。これが地球温暖化です。

バイオ・ディーゼルの精製方法

愛知工科大学/愛知工科大学自動車短期大学には、約300名収容の学生食堂があり、毎日にぎわっていますが、そこから廃棄される使用済み食用油を使って、バイオ・ディーゼルを精製しました。

廃食油を濾過し、食べかすや固形不純物を取り除く。

水分を取り除く。

廃食油には、遊離脂肪酸が含まれるので、触媒量を調整するため、滴定を行う。

滴定を行った分量の触媒(水酸化ナトリウム:苛性ソーダ)とメタノールを混ぜた混合物を作る。

廃食油を暖め、攪拌しながら混合物を入れ、さらに一時間攪拌する。

一晩静置し、分離を行う。

不純物を水で洗い、乾燥させる。

品質のチェックを行う。

右の写真が比較で、左が廃食油、真ん中が攪拌してすぐに取り出した状態、右が精製したバイオ・ディーゼルです。
真ん中の、攪拌してすぐに取り出した状態のものは、副生成物のグリセリンが沈殿しています。

注意!

燃料精製には危険な薬品もあるので、十分に下調べをし、注意を守って、安全第一で行うように!

完成したバイオ・ディーゼルで、実習用のディーゼル・エンジンを動かしています。
排気ガスからは天ぷら油の臭いがします。
この取り組みで、化石燃料の軽油を使わなくなり、二酸化炭素の排出を少しでも減らすことができました。
しかし、まだまだ問題点もあり、それを解決するべく、研究を進めています。

「出張講義」にて、バイオ・ディーゼルの講習も受け付けておりますので、もっと詳しく知りたい方の連絡をお待ちしております。

これを読んで少しでも関心を持たれ、みなさんでやれることを見つけ、地球温暖化を止めましょう。