「日本では急速に高齢化が進んでいます。中国でも、もうすぐそれを上回る超高齢化社会が到来します。当然、車イスの利用者も増えていますが、現在の交通環境は、安全と安心が確保されているとはいえません。介助者を自動追従することで、電動車イスはより安全なものになると思いました」 電動車イスにカメラを取りつけ、介助者を認識して自動で追従するシステムを構築。介助者の認識には誤差が少なく、複数の介助者を識別できるARマーカを採用した。交通弱者の安全を守るための、大きな一歩だ。しかし、楊さんは満足しなかった。
電動車イスがさらに安全になるためには路面の凹凸に対応する必要がある。自動車ならサスペンションやショックアブソーバの性能次第でかなりの段差を乗り越えることができるが、車イスではわずかな段差も急加速や転倒のリスクに直結する。楊さんは、大学院に進学して、この問題に取り組もうと思った。