就職活動でも、CADを活かせる仕事を目指した。最初は都会に憧れ、関東で就職活動をしていたが、コロナ禍もありうまくいかず、そんな状況のなかで研究室の先生から日産自動車を推薦された。情勢もあり面接はオンライン形式だったが、最初はそれに慣れなかったそうだ。
「普段から人の目を見て話しているので、オンライン面接だとカメラと相手の目の位置が違っていて大変でした」
伊藤さんは大学入学後にCADをはじめたが、3DCADへの理解も早く、みるみるうちに興味を持ち、楽しいものになっていた。さらに、CAE(Computer Aided Engineering)にも触れて研究の範囲を広げていった。CAEとは、CADでつくった3次元データを検証・解析し、パソコン上でモノづくりができるソフトだ。実際モノをつくるよりも簡単にシミュレーションができるのでコスト削減が期待できる。
日産自動車の一次面接でも、CADを使ったエンジニアリングについて想いを伝えた。話が弾んだ一方で気づかされたことも。
「自分がCADでできることはほんの一部だと。『これからもっと多くのことができるけど、そのためには基本が大事だから今の研究を続けていってほしい』といっていただきました」
CADを使った車のボディデザインを夢見る伊藤さん。大学で学んだ基本を踏まえ、就職後もその興味と情熱でCADに向きあい、さらに理解を深める決意である。