サスティナビリティ(持続可能な発展)という言葉をご存じだろうか。私たちの便利な生活を支えるために,膨大な量のエネルギーや資源が消費されているが,その代償として,二酸化炭素増加による地球温暖化や資源の枯渇問題が起こっている。今のまま石油や資源を使い続ければ近い将来文明が破綻することは明白である。そこで,本研究室では,持続可能な発展を実現するために,バイオマス資源を熱や電気または高価値な燃料に変える,つまり,クリーンエネルギーを生み出す装置の開発を行っている。
例えば,本学が所在する蒲郡市はミカンで有名だが,毎年何百トンもの廃棄ミカンが発生している。有機系の廃棄物をゴミとして焼却すれば,燃料を浪費しかつ二酸化炭素を増加させることになる。しかし,これを上手に使えば有効なバイオマス資源になる。バイオマスの種類によっては発酵させると熱が発生し,なんと80℃ぐらいのかなりの高温になることもある。温室内で発酵させた熱を循環させれば,暖房用のエネルギーが節約できる。熱が余れば家庭に送ることも検討できる。しかも発酵後のバイオマスは堆肥にもなり,まさに一石三鳥だ。また廃棄ミカンは,果汁を燃料電池の燃料にしたり,バイオエタノールの原料にすることも可能である。工夫次第でゴミが宝になるのである。
本研究室では,ほかにもクリーンエネルギーとして色素を利用した太陽光発電の研究や環境汚染対策としてオゾンを用いた有害物除去の研究も行っている。