2011年3月の東日本大震災では,その振動が東京まで伝わり新宿の高層ビル群が長時間にわたって大きく揺れるという長周期地震動問題が発生した。この振動を抑えるため,ビルの屋上に巨大な振子を設置するという対策が行われており,このような装置をTMDまたはダイナミックダンパと呼ぶ。振子型のダイナミックダンパはワイヤーで巨大な重りを吊り下げるという構造をしており,超高層ビルでは十メートルから数十メートルもの高さをもつ空間が必要になるという欠点がある。本研究室では振子の代わりにヤジロベエの形や,円筒案内面を転がる円筒や球状の重りを用いることでスペースの問題を解決し,その制振効果を検証する。また,ダイナミックダンパは建築物にとどまらず,自動車・家電など,身近な機械にも使用されており,様々なタイプが存在する。本研究室は新しい構造のダイナミックダンパを開発し,理論解析や実験を通してその効果を調べ,いろいろな振動問題の解決を目指している。