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地元蒲郡出身の山本真也さんによる「エンジニアリングとダイバーシティ」をテーマに講演を行いました

エンジニアリングとダイバーシティ

「社会学」では、今日の社会問題について興味・関心を持つこと、社会学の理論やデータを理解して問題を解決する視点を養うことを重視した授業を行っています。第13回の授業では、地元蒲郡出身の山本真也さんによる「エンジニアリングとダイバーシティ」をテーマに講演を行いました。

困難を乗り越えて夢を持つ

ゲスト講師の山本さんは車椅子使用者であり、前職(NTTデータ)では人間中心設計の専門家としてTOKYO2020組織委員会に出向し大会システムの開発と運用に携わりました。

誰もが使いやすいアクセシビリティとはどのようなことなのか。山本さんは、はじめに人生で経験した様々な不自由や困ったことをお話しになりました。しかし、困難を乗り越えるごとに夢を持ち、その夢をかなえるために活動することを繰り返してきました。

特に教師を目指して大学に入学したものの、車椅子使用者であることから学校の教壇に立てないとわかった時にはとても落ち込んだそうです。結局、就職活動をやり直して日本でも有数の情報関連企業のSEとしてNTTデータに入社しました。山本さんが入社した当時は車椅子を使用する社員が少なかったことから、社内で働きやすいように話し合いと改善を重ね、今では大勢の車椅子の社員が活躍しているそうです。

五輪は究極のユニバーサル空間

山本さんは会社に入社してからもスポーツが得意でマラソンや様々な競技を経験していました。その中でセーリングと出会い、働きながらロンドン2012パラリンピックにセーリング競技日本代表として出場し、選手村で体験したユニバーサルな空間と移動手段に感動しました。その後、リオパラリンピックでのメダル獲得を目指し世界大会に出場するも、出場権は獲得できませんでした。

残念ながらパラアスリートとしてリオや東京には出場できませんでしたが、「多様性と調和」が大会ビジョンであったTOKYO2020では、山本さんは専門性を活かして支える側になりました。担当した大会ホームページでは、大会ビジョンを実現するためにアクセシビリティが重視されていました。山本さんは、webアクセシビリティをユーザーの使いやすさや安心・満足の土台となるものであり、障がいを持つ人たちが利用できるように設計・開発されていること、と考えています。それは誰もが使いやすいwebであることを意味します。だからこそ、使う人間を中心としたものづくりが重要であることを説かれ、暮らしの中で生じる問題や危険について、それらのデザインや設計の問題点についてユーザー視点からお話になりました。

学生へのエール

山本さんは講演の最後に「問題を指摘できるだけでなく、問題を解決できる人材になってほしい」と語られました。多様なユーザーの声を聞き、それを実現するテクノロジーを用いて誰もが使いやすい環境を作ることの重要性を心に刻んだ講演でした。